中国特許法三回目の改正に関して
2008年12月27日に「中華人民共和国特許法」の改正案が全国人民代表会により採択され、2009年10月1日より実施を開始する。
「中華人民共和国特許法」は1985年4月1日より初めて実施し、1993年、2001年を経て二回で改正された。今回の改正は、三回目で、その主な内容を以下に解釈する。
一、新規性の基準に関して
現行の特許法では、絶対新規性と相対新規性との組み合わせを原則とし、刊行物公開以外の使用公開および他の方法で公に知られている地域は、海外を除き中国大陸のみに限定されているが、今回改正後の特許法が絶対新規性のみを原則にして、全世界の範囲において使用公開および他の方法で公に知られている地域も新規性の否定とされる(法第22、23条)。
二、中国大陸で完成した発明創造を特許出願することに関して
現行の特許法に基づいて中国企業または個人が中国大陸で完成した発明を、海外へ特許出願する前にかならず中国へ特許を出願しなければならないと規定されたが、今回改正後の特許法においては必ず先に中国へ特許出願しなければならないという条例は削除された。ただし、いずれかの出願人が中国で完成した発明を、海外へ特許を出願する前に、中国特許庁へ機密審査を経なければならない。つまり機密審査を経てから海外へ特許出願できることを規定した。この条例に反し海外へ特許を出願する場合、その対応中国出願に特許権を付与しないこととされる(法第20条)。
三、特許および実用新案を同時に出願することに関して
現行の特許法では原則的に同じな発明創造を1つの特許権を付与することは規定したが、今回改正後の特許法は、同じ出願人が同じ日に同様な発明創造を実用新案と特許を同時に出願して、先取得した実用新案登録権が有効でありかつ出願人が当該実用新案登録権の放棄を明示する場合、特許権を付与できると明確に規定した(法第9条)。
ただし、実用新案登録権がすでに実施された場合(例えば販売、許諾または権利行使など)は、放棄後の同様な発明に特許権が付与できるかどうかについて、改正後の特許法には明確な条例が記載されていない。
四、意匠に関して
今回、意匠に関する改正が多く、以下の通りである。
平面印刷品の図面、色彩または両者の組み合わせによる標識的なデザインに意匠登録権を再付与しない(法第25条第6項)。
簡潔な説明書は意匠出願時に提出しなければならない。説明書は図面または写真に示された当該製品のデザインを簡潔に説明することができる(法第27条)。
同一区分でありかつセット販売または使用の製品を2以上のデザインを1出願として提出できる現在の規定を除き、同一製品の2以上類似デザインも1意匠出願として提出することができる(法第31条第2段落)。
権利行使際、現に実用新案登録権のみに適用できた、特許庁から発行された登録権評価書は、意匠登録権にも適用できるようになった(法第61条)。
「販売の申出」は、意匠権侵害行為にあたると関連事項に追加される(法第11条)。
五、共有特許権の使用に関して
今回改正後の特許法は、以下に明確に規定した:
特許出願権または特許権の共有者が権利行使に関して約定がある場合はその約定に従う。約定がない場合に権利共有者は、単独で共有権を実施できること、あるいは一般の許可方法で他人に当該共有実施権を許可して当該権利を実施できる。他人に実施権を許諾し、受け取った特許使用費は、共有権利者の間に配分すべきである。上述した条例を除き、共有する特許出願権または特許権を行使する場合、共有権利者全員の同意が必要である(法第15条)。
六、遺伝子の保護を強化する規定に関して
遺伝資源により完成した発明創造に関して、出願人が明細書に当該遺伝資源の直接由来または原始由来を説明しなければならない。出願人がその原始由来を説明できない場合、理由を付して回答しなければならない(法26条第5段落)。
法律、行政法規に違反して獲得または利用した遺伝資源については、当該遺伝資源により完成した発明創造に特許権を付与しない(法第5条)。
七、特許の強制許諾に関して
主に以下の条項に追加し、さらに詳細化した。
(一) 実施条件を具備する企業または個人に対して、以下の場合は特許または実用新案の実施権を強制許諾することができる(法第48条)。
1.特許権付与日から3年が満了してかつ特許出願提出日から4年が満了しているのに特許権者が正当な理由も無く実施していない、あるいは十分に実施していない場合。
2. 特許権者が権利行使際、競争に悪影響を与える行為を排除あるいは制限するために法により独占行為と認められた場合。
(二)公共健康を目的として特許権を取得した薬品に対し,特許庁はその製品の製造と中華人民共和国が加盟する関連国際条約に規定された国あるいは地域への輸出を強制許諾できる(法第50条)。
(三)半導体技術に関する発明創造を強制許諾することは、公共利益の目的または独占防止に限られている場合(法第52条)。
八、特許権の保護と侵害行為処罰の強化に関して
以下の通りに明確に規定した:
1. 賠償は、権利者が権利侵害行為を制止するため支払った合理的な支出が含まれるべきであることを明確に規定した(法第65条)。
2. 現行法に規定された罰金額最高50万人民元から100万人民元に上がった(法第65条)。
3. 権利者あるいは利害関係者が、他人がその特許権を侵害している、あるいはその特許権を侵害しようとしていて、速やかに制止しなければその合法的権益が補償の難しいほどの損害を被る恐れがあることを証明できる証拠を持っている場合、訴訟を提起する前、裁判所に対して関連行為の停止命令を執行するよう申請できる(俗に“臨時命令”と称する)(法第66条)。
4. 権利侵害行為を制止するため、証拠が消失する可能性あるいは証拠の取得が困難になる可能性がある状況下で、権利者あるいは利害関係者は起訴前に裁判所へ証拠保全を申請することができる(法第67条)。
九、侵害責任または賠償責任の免除に関して
下記に規定した。
1. 権利侵害紛争中、権利侵害と控訴された側が、その実施技術あるいはデザインが従来の技術あるいは従来のデザインに属することを証明できる証拠を持っている場合,権利侵害とはみなされない(法第62条)。
2. 権利者あるいは許可を取得した企業あるいは個人が製造した特許製品、または特許方法によって直接獲得した製品を販売後、他人が再び当該製品を使用、販売申出、販売、輸入する場合(法第69条第1項)。
3. 行政審査に必要な情報を提供するため、特許薬品あるいは特許医療機器を製造、使用、輸入した場合、または専門的に特許薬品あるいは特許医療器械を製造、輸入した場合(法第69条第5項)。
4. 権利者の許可を得ずに権利侵害製品が製造販売され、使用者あるいは販売者が利権侵害製品と知らずに購入し、生産経営を目的として使用、販売申出、販売した場合、当該製品の合法的な出所を証明できる場合は賠償責任を負う必要は無い(法第70条)。 |